大判例

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東京高等裁判所 昭和28年(ネ)847号 判決

控訴人は、「原判決を取り消す。被控訴人が控訴人に対し昭和二十七年八月十五日附関局調査一―一八七通知書を以てした法人税等の賦課処分に対する審査請求却下の審査決定を取り消す。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は主文第一項と同旨の判決を求めた。

当事者双方の事実並びに証拠の関係は、

証拠として新たに、控訴人において甲第一、二号証、同第三号証の一ないし三を提出し、当審証人栗橋竹治、同赤峰庄二郎の各証言を援用し、乙号各証の成立を認め、なお、乙第二号証の一、二について、当時控訴会社は既に解散していたから取締役東出寅吉には会社を代表する権限がなく、従つて控訴会社宛の書面を適法に受領し得ないと述べ、被控訴代理人において乙第一号証、同第二、三号証の各一、二、同第四号証の一ないし四、同第五号証の一、二、同第六、七号証を提出し、当審証人中野政次郎、同星野賢三郎、同東出寅吉、同信野憲太、同森田熊一、同佐藤三太郎の各証言を援用し、甲第二号証の成立は不知、その余の甲号各証の成立はいずれもこれを認めると述べた外、

すべて原判決の「事実」の部分に記載してあるところと同一であるから、ここにこれを引用する。(但し、原判決四枚目表末行に「昭和二十五年」とあるのは「昭和二十七年」の誤記と認める。)

三、理  由

控訴会社は創立以来取締役社長栗橋竹治がその代表者であつたが、昭和二十五年五月十一日以降取締役東出寅吉が代表者となり、更に同年六月五日解散により矢部善夫が清算人に就任したこと、控訴会社が昭和二十七年五月二十七日附を以て被控訴人に対し審査請求をなしたところ、被控訴人は右審査請求が期間経過後なされた不適法のものとしてこれを却下する旨の決定をなし、同年八月十五日附(同月二十三日到達)の関局調査一―一八七通知書を以て控訴人にその旨の通知をしたことはいずれも当事者間に争がない。

而して成立に争のない乙第二、三号証の各一、二、同第四号証の一ないし四、同第五号証の一、二、同第六号証、当審証人星野賢三郎、同東出寅吉、同信野憲太の各証言に成立に争のない乙第一号証の記載を綜合して考察すれば、被控訴人は昭和二十五年一月二十三日から同年三月下旬頃まで脱税容疑を以て控訴会社の査察をなし、(この点に関しては当事者間に争がない)右査察の結果に基き控訴会社に対する法人税等を更正することを決定してその旨浦和税務署に通知し、よつて同税務署は右通知に従い同年六月三十日附を以て、昭和二十五年度において徴収すべき控訴会社に対する昭和二十三年一月から昭和二十四年六月までの法人税額を金九百四十九万二千六百二円(原判決末尾添附の別表(一)記載のものに昭和二十三年度上半期における加算税予定額金百二十四万六千八百三十二円を加えたもの、)昭和二十三年九月から昭和二十四年十二月までの取引高税額を金十五万七千百円、(前記別表(一)記載のもの、)昭和二十三年一月から昭和二十四年十二月までの源泉所得税額を金六百五十一万四千二百三十二円、(前記別表(一)記載の増差税額、加算税額に追徴税額金百二万九千二百五十円を加えたもの、)とする旨の更正決定をなし、控訴会社取締役社長栗橋竹治宛の右更正決定通知書並びに納税告知書を作成し、同日同税務署係員をして解散当時の控訴会社の社長であつた東出寅吉方に持参させたところ、右東出寅吉は異議なくこれを受領し、その後同年七月初旬右各文書を控訴会社の清算人矢部善夫に交付したことが認められる。当審証人赤峰庄二郎の証言中右認定に反する部分は前記各証拠及び当審証人中野政次郎の証言と対照して遽かに措信し難く、他に右認定を覆すに足る証拠はない。

尤も控訴会社の代表者は、当事者間に争のないように、栗橋竹治から東出寅吉と変更になり、更に控訴会社が解散した昭和二十五年六月五日以後は清算人矢部善夫がその代表者となり、且つ、右解散並びに清算人就任に関しては、同月二十一日控訴会社から浦和税務署長にその旨の通知があり、又その頃三回に亘り官報にその旨の公告があつたことは当事者間に争がないけれども、前段認定に徴すれば、前記取締役社長栗橋竹治宛の更正決定通知書並びに納税告知書は当然控訴会社に宛てたものと解せられるから、その代表者名義の誤記の如きはその書面の効力に何等の影響を及ぼさないものというべく、又当時前記東出寅吉は控訴会社を代表する権限がなく、従つて同人は右各書面を受領する権限がないことは明らかであるが、前段認定の如く右各書面がその後同人から控訴会社代表者矢部善夫の手に渡り、受領権限のある者に交付された以上、右更正決定及び納税告知書による納付命令は控訴会社に適法に告知されたものといわなければならない。

而して控訴会社のなした前記審査請求が右更正決定並びに納付命令を不服としてその審査を求める趣旨であつたことは、弁論の全趣旨によつて明らかであるから、右はその通知を受けた日から一箇月と定められた審査請求期間を既に経過した後になされたものであつて、不適法たることはいうまでもない。

然らば、右審査請求を不適法として却下した本件審査決定は正当であるから、控訴人の本訴請求は理由がないものというべく、従つて当裁判所の判断とその内容において異なるけれども、控訴人の本訴請求を棄却した原判決は結果において相当であるから、本件控訴は理由なきものとしてこれを棄却すべきものとし、民事訴訟法第三百八十四条第二項、第九十五条、第八十九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 渡辺葆 牛山要 野本泰)

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